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2024/02/10
(土)
- 「赤シート見える世界は無限大」―。昨年、ある動画サイトで知った「受験川柳」。大学別の入試過去問題集「赤本」を発行する数学社が公募し今回が第9回、3258句の中からの入賞句が先月、発表された▼初見では「赤シート?」となるが、受験川柳と聞けば文字を隠す暗記用のアレだと納得。通常は“隠す”ものを透かして見るのが未来という、発想と表現の豊かさに感動▼ちなみに冒頭の句は高校生の特別賞で、全体の最優秀賞は「赤本にはさむ四つ葉のクローバー」。冒頭だといきなりネタバレになるのでここで紹介。テーマが受験と限定的ながら、歴代の入賞句を見ると世相を反映して興味深い▼例えば令和4年は「制服はテストの日だけ勝負服」「マスク跡写真に残る受験票」など。新型コロナウイルス禍の休校や分散登校、マスク生活といった当時の日常が句に透ける▼もっと前の年はインスタやアプリ、尾崎放哉よろしく14歳が自由律で攻めた「合格してもひとり」には震えた。昨年の「一浪を『ひとなみ』と読む母が好き」は個人的に推し▼活字離れといわれて久しいが、春、自分の発想や語彙力の萌芽を願って、まずは多くの書にふれ知の種まきを。