HOME>>瀬音

  • 2022/11/30 (水)
  •  2年前の豪雨災害を契機に再び動き始めた川辺川のダム建設計画。貯留型ではなく流水型で命と環境を守るというが、両立はできるのだろうか▼先週から流域7市町村で環境影響評価方法レポートの住民説明会が開かれている。本紙でもお伝えしたが、ダム本体に設けられる長いトンネルをアユが行き来できるのか、日本一の清流が保たれるのか懸念する声が上がっている▼近年の気候変動もあって自然環境に対する住民の関心は高まっている。先日、球磨湿地研究会が人吉市に提案した温泉町の頭無川環境保全もその一つ。名前は頭無川だが、河川ではなく全長460メートルの雨水幹線。水源が湧水のため水質は清らか。2年前の水害で土砂が堆積したが、除去され以前の姿を取り戻している▼同会の調査では、絶滅が危惧される野生動植物を10種以上確認。湧水がその生育環境を育んでいるほか、保全することが雨水を浸透させて氾濫を抑制する「緑の流域治水」にもつながると指摘する▼地元町内会長が「温泉町の宝」と言っていたが、周辺の開発が進めば水量減少や枯渇の恐れも出てくる。住民と行政が手を携え、その豊かな環境が守られることを願う。

トップへもどる