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  • 2022/05/12 (木)
  •  先日、メモ帳とボールペンを求めて久しぶりに100円ショップを利用。入店すると文具や園芸、食器といった定番ジャンルだけでなく、化粧品やキャンプ用品などその多様性に驚いた▼戦後の物不足から高度経済成長期を経て、今はいろいろな物が手軽に買える時代。店に行かなくてもインターネットで注文するだけで自宅に商品が届くのも当たり前に。その反面、長く使い続けてきた思い入れのある品は減ったように感じる▼日本では古来より、物には魂や神が宿るという思想が根付く。提灯や唐傘のお化け、分福茶釜などに代表される「付喪神」は「九十九神」とも書き、物に神が宿るにはおよそ100年の年月といわれる。人を驚かすなど悪さをしたり、困り果てた所有者に恩返しをする説話が多々▼部屋を見渡すと大きな家具などを除いて10年以上継続して使っている物はほとんどなかった。特に衣類は増える一方で、いつ、どこで買ったのか記憶さえない服もあり、衣替えをしながら反省しきり▼身の回りにある物は人間の生活が豊かになるようにと、先人らの知恵と思いが詰まっている。物があふれる現代だからこそ、その大切さを見つめ直したい。

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