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  • 2020/10/27 (火)
  •  子の誕生や祝事など記念して行う植樹。森林保全を目的とする場合もあり、幼木は歳月とともに大樹へ成長、水源のかん養を含め果たす役割はさまざま。実をつけたり、花を咲かせる記念樹も多く、ときには花見をしながら思い出談義に“花”が咲くこともある▼ともあれ、7月の豪雨災害で景観が一変した所もあると聞いていた最中、球磨村神瀬で生まれ育った友がフェイスブックのカバー写真を変更。予想は的中、「もうこの風景はみることができないね」とあった▼かつて、取材で何度も訪れたことがある地域の一角。写真の樹木は枝葉が青空に向かい天高く伸びている。聞けば人吉市から実家に帰省するたび自宅庭の樹木前で両親を囲み、集合写真を撮るのが楽しみだった思い出の場所▼もの心ついた頃から一家の喜びや悲しみを知るシンボル的な樹木だったと言い、その横には天井まで水に浸かる前の家屋が写っている。今後、風景がさらにどう変わるか見通せない状況下でも、古里に変わりないと前を向く▼球磨村が実施した住民アンケートで約9割の人が「村に帰りたい」意向を示す中、同村の仮設団地整備が完了したのは新たな一歩に他ならない。

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