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  • 2020/01/11 (土)
  •  官公署の仕事始めから6日目。官民そろって新年がスタートしているのだが、ことしの人吉球磨はどうなるのか、楽しみと不安が同居する▼御用始めと呼んだころのその日は、市街地が一気に動き出していた。「初荷」と大書した竹竿の幟旗のトラックが走り回り、到着した商店の前で荷を下ろし、手締めをして景気づけ。商店街も活気があった▼そんな季節感のある光景は消えた。羽根つき、こま回し、凧揚げ、カルタといった子どもの正月の遊びも見なくなって久しい。親類へのあいさつはともかく、上司宅への年始回りさえ減った▼正月関連行事の一つに書き初めがあった。すでに、習字を習う子どもの行事のようになっていた昔時の人吉で聞いた話。ある縦社会の職場のトップが、新年に当たって全員で書き初めをと持ち掛けた▼目標や決意、思いなど題は自由だったが、ある平職員が書いたのは「笛吹けど踊らず」。これを見たトップの胸中いかにだが、注意もしない度量を見せた。当の職員もつわものと周囲の評価を受けたそうだ▼“恐れず言動を起こす”気骨ある人材が求められるのは今も昔も同じだろう。「笛が正しく鳴ったら踊ろう」と、改めて新年の提唱。

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