HOME>>瀬音
-
2025/04/15
(火)
- 球磨郡の先祖代々に渡って棚田を守ってきた80歳代の男性が落胆する。「田んぼの表土が硬すぎて耕せない」。令和2年7月豪雨災害から復旧したはずの農地にぼうぜんとした▼豪雨災害は球磨村、八代市芦北町などを中心に農地が甚大な被害を受けた。国、県、市町村などが協力し、営農意欲を失わないように1日も早い経営再建に向け、農地に堆積した土砂の撤去、農地などの復旧などを支援している▼この男性は豪雨災害の球磨川支流氾濫による濁水、土砂で農地が被災。長年耕してきた農地を失った精神的なダメージは大きく、自らの手で復旧作業を行うには体力的、経済的な負担が重くのしかかる▼だからこそ、国、県、市町村などによる農地復旧を待ち、再び耕作できる喜びに感謝していた。しかし、復旧した農地はコンクリートのように硬い。表土はひび割れ、重機のキャタピラ跡も残っていた▼「被災前と同じようにするのが原形復旧では」と行政に訴えた。業者が対応してくれることになったが、行政の姿勢には不満が残った▼高齢で農地の維持も年々難しくなる。それでも先祖代々守ってきた農地を守るために、ようやく被災後初の田植えを迎える。