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2025/04/14
(月)
- ことしは戦後80年、昭和100年の節目として太平洋戦争の記憶継承、昭和の歴史回顧に関するテレビ番組や出版物を目にする▼1週間前、天皇皇后両陛下が戦後80年に合わせて慰霊に訪れたのは、東京都小笠原村の硫黄島。80年前の昭和20年2月、米軍が上陸し日本軍守備隊と激突。太平洋戦争中の激戦地の一つに挙げられ、摺鉢山に掲げられた星条旗の写真、映画化でご存じの人も多いだろう▼その戦いで米軍約7000人、日本軍約2万1900人が戦死し、今も多くの遺骨が収集されずに現地に眠っている。生存者は約700人と言われ、今から20年前、その1人が郡内で健在、戦後60年企画で体験を聞くことができた▼日本は、米軍が日本本土攻撃の中継地として狙っていることを察知。島民を疎開させ、地下壕を掘削し要塞化が進められたが、火山島のため「湯気と汗で風呂に入っているようだった」と振り返り、九死に一生を得た戦場の様子は、さらに過酷で悲惨なものだった▼80年たったが、ロシアのウクライナ侵攻による戦争は続き、さらにトランプ関税を巡る米中貿易戦争も。世界がいがみ合う現状に不安と、きなくささがつきまとう。