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  • 2023/03/31 (金)
  •  20年前、人吉市が瓦屋町に開設した「市民農園」がきょう31日で閉園した。長年、借り続けてきたこともあって寂しい思い▼1区画面積は30平方メートルで、一人で管理するには適度な広さ。農具はホームセンターで買った鍬1本。以前は飼料畑だったらしく、借りた当初は鍬を入れると土が固く残った根の塊に苦戦。不慣れな鍬使いに見かねた高齢男性から声を掛けられ、実演を交えて畝立ての手ほどきを受け勉強になった▼市民農園では、野菜作りという共通目的から見知らぬ人同士でも自然と交流が生まれ、農を通じたコミュニティーが生まれていた。利用者は高齢者が多く、生きがいだけでなく年金生活の支えとして借りていた人も。遊休農地活用など農政面だけでなく、高齢者福祉の観点から新たな場所での開設を望みたい▼その農園から南側に見えるスーパーマーケット。そこにはかつて九州農政局川辺川農業水利事業所があったのを思い出した。国営川辺川総合土地改良事業の休止により一度は姿を消したが、事業再開で土手町に場所を移して再び開設。紆余曲折をたどった事業完了に伴い、きょう静かに閉所した▼さまざまな思いが交錯する年度末。

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