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  • 2022/09/17 (土)
  •  「ことしは神輿が出るげな」。人吉球磨特有のげなげな話と思いきや本当だった。国宝・青井阿蘇神社の例大祭「おくんち祭」で、10月9日の神幸式行列が3年ぶりに復活する▼令和2年7月豪雨と新型コロナウイルス感染症の二重苦により、人吉球磨の各地で続く祭りの中止は伝承自体を難しくする。福川義文宮司は「祭始動!」を掲げ、「少しずつ元に戻し、祭りのにぎわいが復興につながる」と語る▼神幸式行列はコース、参加者とも制限され、これまでの神輿2基を中心に2000人が練り歩く時代絵巻はまだ見られないが、神輿を担ぐ大人、子どもたちから響くであろう「ワッショイ!」の掛け声、獅子、稚児行列などは楽しみでならない▼そして、伝統の祭りを次世代につなぐため、男子高校生が球磨神楽「獅子」の練習に汗を流している。いかつい獅子面をかぶり、大きな歯をカチカチと鳴らす。デビューの10月8日の夜神楽まで1カ月を切った▼災害から「もう2年」「まだ2年」。住まいを再建した人、いまなお仮設住宅暮らしの人など復旧が進むも心の復興は難しい。10月3日に開幕する「おくんち祭」が、皆の心を復興へ一つにすることを切に願う。

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