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  • 2026/04/28 (火)
  •  五木村で営まれた戦没者追悼式。静寂に響く祈りの言葉とは裏腹に、遺族会は会員の超高齢化が進み、組織の存続そのものが危ぶまれている。「孫の代への継承」を最大の課題とするその危機感は、戦後81年の歳月がもたらす記憶の断絶を予感させる▼本紙で連載中の中村紫苑さん(27)によるウクライナ潜入記も、きょう28日付の第4回、あすの第5回で完結を迎える。20歳代の若者が現地で目撃したのは。かつての日本の戦禍を知る世代が去りゆく中で、私たちは何を語り継ぐべきか▼中村さんがウクライナの都市で出合った負傷兵や義勇兵らの感情を押し殺した独特なあの瞳と、五木村で静かに祈る遺族の背中。場所も時代も異なるが、戦争がもたらす喪失の深さと、平穏な日常を奪われる理不尽さは通底している。悲劇を「過去の物語」として風化させてはならない▼遺族会の存続危機は、平和への意志をいかに次代へ託すかという重い問いでもある。戦禍の真実をどう手渡していくか。中村さんが持ち帰った現代の戦地の声を聞いてほしい。故郷で守られてきた祈りの声を重ね合わせ、平和の尊さを次代へつなぐ責務が、今を生きる私たちにはある。

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