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2026/04/03
(金)
- 数日前、届いたはがきを目にし時の早さに気づかされた。差出人は、郷土史家の故・前田一洋さんのご遺族▼本紙読者ならご存じのとおり、「球磨弁まっ出し」「球磨弁珍語録」などを長期間にわたり連載。講演会やラジオ、テレビにも出演し、球磨弁の伝道師として活躍された▼執筆に使っていたのはパソコンではなく古いワープロ。3.5インチのフロッピーディスクで入稿していた。昨年2月、ディスクを取りに人吉市田野町の書斎を訪れた直後に入院され、市内の病室でお会いしたのが生前最後となった▼前田さんが球磨弁に目を向けるようになったのは、高校時代の授業で出会った、郷土史家で知られた故・渋谷敦さんの教え。方言に日本の古い時代の言葉が使われ、形を変えて残っている無形文化財として研究を始め、その成果は数多くの著書に記されている▼あす4日が前田さんの一周忌。人吉郷土研究所の大平哲也さんは、命日に合わせて明後日、山江村で球磨にいたクマに関する講演会を開く。今後は、渋谷さんと一緒に調査していた河童にちなみ「がらっぱ忌」と題し、民俗や地名に関する発表の場を思い描く▼自身も在りし日の温和な笑顔と語りをしのびたい。