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  • 2021/12/01 (水)
  •  きょうから師走。やがて昨年7月豪雨から1年5カ月。時のたつのが早いとつい口に出るのは加齢のせいか▼人吉市中心部では被災家屋の解体が進み、さら地が目に付く中、上中球磨で先月、くま川鉄道が肥後西村駅と湯前駅間で部分運行を始めた。復興の象徴になるといわれていたが、実際に田園風景を3両編成の列車が再び走り始めた姿と沿線住民の笑顔を目にし、そのとおりと実感▼災害が起きるまで列車が走る姿は日常風景。それが失われて初めて鉄道の存在価値を考えさせられた住民は多い。だからこそ沿線には再開を祝う看板が掲げられ、各駅で開かれた記念イベントも多くの人で久しぶりに活気にあふれていた▼振り返れば時代は昭和から平成、鉄道も国鉄からJRへの節目に際し、存続運動など郡市民の並々ならぬ努力で廃線の危機から第三セクターで生き残った地域鉄道。それから30年以上が経過し、沿線住民の人口は減少。マイカーの普及で路線バスを含め地域公共交通に対する関心や利用が薄れていたことは否めない▼今後は全線開通へ向け、新たな乗車運動や支援など機運の高まりに期待し、名実ともに復興の牽引列車になることを願う。

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