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  • 2018/12/04 (火)
  •  年末恒例の新語・流行語大賞が発表された。結果はさておき、特筆すべきは「スーパーボランティア」の受賞を辞退した尾畠春夫さん▼思いだすのが今夏の「なんぼ警察だろうが、大臣が来ようが関係ない」と、山口県の不明男児を家族に手渡し、執拗な取材にも笑顔で接し、最後には「ボランティアをさせていただいている」と締めくくる。本当に頭が下がる▼「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。小欄で何度も論じた故事成語である。わが身を含めた周囲の大半が実践できず。否、理解への労を払わず驕り高ぶる尊大な様は、まさに滑稽極まりない。尾畠さんの爪垢が不可欠なほど▼そんな尾畠さんと共に、広島県呉市で復興支援作業に従事した人吉二中2年生の味岡孝樹君は、先の文化祭の個人発表で現地の様子を語り、国の支援不足を厳しく指摘した。熊本地震でもボランティアに努めたが、被災者に添い汗した子どもたちの心は確実に変わる▼「…させていただく」。奉仕対象者に許可を求める謙虚さと敬意の意識を親に学び、寡黙に作業する姿が尾畠さんを刺激したからこそ、馬が合ったのだろう▼弱い者が多く、群れたがる社会でこそ価値ある孤軍奮闘である。

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