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  • 2018/11/09 (金)
  •  物事を理解する方法は「聞く」「読む」に大別されよう。前者は話を、後者は本や新聞など文字から認識。幼児がいつしか言葉を覚え、気付いたときには話しているのも繰り返しの“トレーニング”があればこそ▼物事の本質を理解する上で本や新聞を読まない若人らの活字離れに不安が尽きない。過日、球磨中央高校の球磨地域学に関わる授業でも話したが、世はネット社会。電源を入れ、手をかざせばさまざまな情報、不確かな情報まであふれ出る▼正しい情報を見極める判断こそ難しく、使い方次第では言わずもがな。さて、自らを顧みれば読書の秋にかこつけて読もうと購入した本は閉じたまま。きょうこそと思うも時間のみ過ぎていく▼本はあまり読まないという知人に理由を尋ねると、「どんな本を読んでいいか分からない」との答え。選ぶ段階から活字を避ける背景に“面倒”の2文字が透けて見える▼北海道のとある書店では、読む人の“カルテ”に基づき1万円分のお薦め本を選び届けてくれるサービスが注目されている。電子書籍や電子新聞もいいが、表現しがたい手触りや匂いは紙ならでは。わずか1行の文章が人生を左右することもあると知っておきたい。

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