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  • 2018/11/08 (木)
  •  「昔の人吉球磨が出る時代小説」と、同僚に文庫本を見せられた。佐伯泰英さんの「空也十番勝負 青春篇 声なき蝉」の上下巻▼佐伯さんは時代小説の人気作家で、10指に余るシリーズを持つ。いつか読んだ本に、祖父か父は「多良木町の出身」と。「空也…」のあとがきでも、取材の旅先の峠で「父の故郷がすぐ近くだと気付いた」とし、そこは「球磨郡」▼空也は、テレビドラマにもなった「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズの主人公で、剣の達人である坂崎磐音の嫡子。独り薩摩へ武者修行の旅に出た16歳の活躍と成長ぶりを描く。人吉球磨が登場するのは主に上巻▼難攻不落の人吉城、白髪岳、市房山、肥後国球磨郡宮原村、百太郎溝、青井阿蘇神社、多良木村と免田村、一勝地谷、球磨川、那良川、相良壱岐守長寛、丸目蔵人佐などと興味をひく名称が続々。第1冊の発行は昨年1月だった▼そこへ「人吉藩が舞台の佐伯さんの本では、それより前に『異風者』が」と横から一声。繰ればなるほど、剣才がある人吉藩の下士が主人公の史実を踏まえた長篇時代小説▼さらに「空也…」の第3弾「恨み残さじ」にも人吉球磨がいっぱい。読書の秋が楽しめた。

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