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  • 2018/09/21 (金)
  •  10年ひと昔というが、本紙創刊60周年企画で平成20年の出来事を確認すると、青井阿蘇神社の国宝指定などのトピックが目につく▼中でも当時、衝撃だったのは、川辺川ダム建設計画をめぐる徳田正臣相良村長、田中信孝前人吉市長、蒲島郁夫県知事の白紙撤回表明。その後、当時の民主党政権の建設中止を受けてダム建設は休止状態に▼ダム建設を前提に村づくりを目指していた五木村は困惑。ただ、人口減少と高齢化が急速に進む中で村の再生は待ったなし。中心部に広がる水没予定地では、五木源パークに続いて来春のオープンを目指してコテージの建設が進む▼記事の「水没予定地」という言葉に「中止になったのになぜ使うのか」と疑問を投げ掛けられた。現地は、国がダム建設のために取得した河川区域。村が振興策を進めるため国の占用許可を得て整備、暫定利用している状態。ダム計画も法的には生きており、事業として水没予定地の除草など維持管理が続く▼「昭和」の計画発表から半世紀が過ぎて「平成」の世も終わるが、いつまで水没予定地と呼ばれるのだろう。村の再建にめどが立ち、ダムの呪縛から解かれる日は来るのか。不安が残る。

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