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  • 2018/09/13 (木)
  •  その頃、人吉市内には商店の広告を目当てに発行する“盆暮れ新聞”が両手ほどあったそうだ。そこに本紙は「進歩と民主主義、地方自治を守る」を社是に切り込んだ。昭和33年9月15日のこと▼そしてことしで60年を迎えられたことは、郡市の読者、広告スポンサーなどの多大な協力があったからで感謝に絶えない。取材や営業に行っても、「人吉新聞」の説明をして理解してもらうことが先だったという先輩諸氏らの苦労と努力もあってこそ▼よく問われるから重ねて記したい。戦後3人目の人吉市長である黒木儀寿圭氏の筆による本紙の題字の「“ひとよし”新聞の“よし”の字は“士”ではなく、なぜ“土”なのか」▼先輩の伝では、「人吉」の起こりには「舎」説があり、地形や交通路から人のとどまる場所の意もあることから、黒木氏は意識的に「土」の「よし」にしたのでは…だった。ちなみに、「土」の「よし」は俗字(手書き用の字体)と辞書にあり、昔は普通に書いていた▼ついでながら、本欄「瀬音」の命名の意図は「耳を澄まして聞く瀬の音のように、静かな警世(世間の人を戒めること)の言を」というもの。果たしてかなっているか自問自答の毎日だ。

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