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  • 2018/08/08 (水)
  •  このところ、同級生や友人の母親が相次いで急逝。人の命の儚さを改めて実感する。友人の母には3年前のちょうど今時分、終戦70年企画で取材をお願いした▼戦中、先人が爆撃機でフィリピン島の攻略戦へ出撃後、移動中に墜落した機体の一部品を遺骨代わりにと納めた桐の箱を手に「戦争は二度としてはならない。息子夫婦や孫との暮らしは奇跡の積み重ねかもしれない」と熱く語られた姿が脳裏に浮かぶ▼幾多の苦難を乗り越え、何よりも共に生きる家族を大切にする“肝っ玉母さん”に、家族とは、人のためとは、真の平和とは何か気付かされた。平凡な日常がどれほど有難いことか、自身の心が安らかであれば諍いは起きないが持論だったかに思う▼昭和の激動期を知る人が年々減ってきた。無論、戦争体験者の語り部も。立秋を過ぎ、あす9日は長崎原爆忌。昨年、長崎市長は「最も怖いのは無関心なこと、そして忘れていくこと」と平和宣言で呼び掛けた▼被爆者の平均年齢は80歳を超え、いずれ、記憶ではなく記録頼みになる検証。人々が命をつなぎ、恒久平和を実現させるべく、自身への問い掛けも忘れない8月9日にと願う。

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