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  • 2018/06/16 (土)
  •  梅雨の中休み。水の満ちた水田では、早苗がちょろちょろと風に揺れる。まさに“水の国”日本の象徴である▼蛇口をひねれば飲用可能な水が溢れ、町を歩けば側溝の水すらきれい。河川の水枯れとは無縁の水環境のせいかカビや洗濯不能、曇り空に災害などと梅雨の印象は芳しくない。しかしこの恩恵こそ、地形と合わせた雨季のおかげ▼水の豊かな国柄のせいか、私たちの生活には水にまつわる言葉が多い。たとえば「どこぞの国の政治家が、わが罪を勝手に“水に流し”、大半の国民感情を無視し“水の合う”輩と徒党を組み、争議の“水入り”を目論むなど言語道断である」となる▼水にまつわるネタをひとつ。水の惑星との別称を持つ地球だが、生物の生命維持には欠かせない淡水の割合は全体のわずか0.01%ほど。さらに地球の全人口の約7割が、年間で1カ月以上も真水を得られない状況である▼大規模営農を誇る北米大陸では農地の塩害が進み、途上国では工業製品製造過程で水が不足気味。中国資本が北海道の水資源獲得に動く報道は記憶に新しい▼近未来には必須の“水戦争”だが、序章はすでに始まっている。「水の恩はおくられぬ」と諭すような梅雨空。

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