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  • 2018/05/21 (月)
  •  観光客を乗せた球磨川下りの舟を見ると、なぜかホッとする。乗船客の減少などで厳しい経営を強いられているからだろう▼ことしのゴールデンウイーク期間中の最多は、4月29日の21隻、304人だったそうだ。本紙には、全盛期の昭和47年5月21日に92隻、1100人とあり約4倍。持ち舟は44隻を数え、球磨村の球泉洞付近まで四十八瀬を下っていたから舟代の単価も違う▼現在では、同村内を下る舟はほとんど見られず、ゴムボートで急流下りを楽しむラフティングが主流だ。村民の中には「以前は観光客を乗せた何隻もの舟が下り、手を振っていたが、現在ではその光景も見られない」と寂しがる▼同村の人口は昭和30年に1万2833人だったが、ことし4月30日現在、3781人にまで減少。さらに高齢化率が43.3%と高く、全国の農山村同様に人口減少と少子高齢化という大きな問題を抱える。以前のようなにぎわいのある球磨川下りの復活を望む声が多いのもそんな背景があるためか▼ことし示されたくま川下り事業再生計画に、営業努力などとともに急流下り復活への取り組みもあった。“急流の水しぶきを浴びて…”の原点回帰に期待したい。

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