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  • 2018/04/17 (火)
  •  好天のサクラ満開のとき、人吉城跡の本丸に数年ぶりに上った。急勾配の階段で息を切らしたかいがあり、二の丸、三の丸の広い芝生や眼下の眺望が楽しめた▼昔時のここは大きな杉が立ち並び、うっそうとしていた。一部を伐採して出来た現在の“明るさ”も結構だが、今にも侍が現れそうだった“静寂さ”が記憶に残る▼城跡一帯では1月末、水ノ手橋際のムクノキの古木2本が伐採された。知人は今も、伐った材木の再利用がほしかったと残念がる。熟した実も食べたなじみ深い巨木だったからだろう▼取材で聞いたまま「中は空洞。残った部分も腐り、板には無理なため廃棄処分に」と説明したのだが、「輪切りして新市庁舎の壁にでも生かし…」と食い下がった。名木だったなら何らかの保存も検討されただろうが、庁舎の設計も進んでいて、もう後の祭り▼同城跡一帯には、同時にせん定された相良清兵衛縁のイチイガシ、五木村の住民献上の「木の子」の逸話があるムクノキ群など古木、名木が景観を成す。古とは変容しても人吉の貴重な観光資源に変わりはない▼西の青井阿蘇神社と並ぶ東の城跡は、人吉の大事な宝。将来へ不断の気配りは欠かせまい。

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