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2025/12/02
(火)
- 暦もいよいよ師走入り。それぞれの年末年始に向けた準備と計画が、より現実味を帯び始める。これにより気ぜわしさが増し、残数を指折り数え時間に追われる日々となろうか▼世の中を見渡せば実に便利なサービスがあふれ、物事の大半がスピードアップを前提とする。例えばその最たるものが個人をつなぐスマホであり、各移動手段の高速化も好例。ネットではAIの登場と進化で、希望する回答を誰もがすぐに入手できる時代だ。かえって立ち止まる価値が見直されそう▼科学技術の進歩に伴い高速道路や新幹線、ときに飛行機を使えばZ世代風では“タイパ”よしとなろうか。実に便利な代物だが、見方を変えれば省略したその合間を知り得ないのは不幸とも思える。知見の偏重、特に不便さと辛抱の不足が心の視野を狭めることはないか。昭和世代のたわ言かもしれないが▼効率性とスピード重視の世の流れは激しさを増すばかりだが、その真逆の世界にあった人間味とぬくもりは本当に無用だったのか。年齢のせいもあろうが、それが最も大切な価値を有していた気がする▼突っ走り過ぎた人生ならば少々、立ち止まって自省してはと師走が教えてくれる。