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  • 2023/02/04 (土)
  •  周囲の若者によれば、おしゃれや“インスタ映え”の流行周期が早まったとか。短い旬に乗り遅れまいと必死の彼らを一笑に付す自分こそ諦念と老化を隠した論点のすり替えと自省▼流行といえばその範囲は多岐にわたり、大半がビジネスに直結するものであればこそ作為といえよう。過剰消費を促す資本主義ならではの流行の創作は、熱しやすくも冷めやすい国民気質と符合し、慌ただしくも新たなブームの創造へと続く▼ところで青天井の消費者物価。日々のいら立ちを政治に向けてもなお、疲弊する社会に生きている自覚こそ重要だ。こんなときに人びとはヒーローを求める。そういえば一時は流行ともなった“伊達直人”の贈りもの現象もちょうどこの季節の話題。人情の響きが、世知辛い現世にむなしく響く▼かの松尾芭蕉が奥州道中に感得した「不易流行」。永久不変の本質は常に変化を求める流行性と説いたが、これを理解する現代人は如何ほどか。それを無視し、グローバルの名を借りた社会のファッショへの傾倒が心配だ▼ファッショを誤認した冒頭の若者曰く「ファッション大好き!」。つい笑みがこぼれ眉間のしわが取れる。たまにはこんな気分もよい。

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