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  • 2021/10/09 (土)
  •  地域を鎮守する“青井さん”。その畏敬を肌で感じられる催しの一つが脈々と受け継がれる例大祭のおくんち祭。本来はそのハイライトを飾るはずだったきょうの神幸式は中止だが、住民の心には青井さんの歴史とともに敬慕の情が伝承される▼秋は読書や収穫、スポーツに形容される季節だが、中でも食欲だけは外せない。ところでおくんち祭と食を組み合わせれば何が出るか。当然ながら筆頭はつぼん汁だろう。晴れの日はもちろん各種大会や町内行事でも供され、さらに各家庭ではこの時季には欠かせない品▼母から子、そして孫へ。わが家ではその伝統の味と背景は毎年、亡母に順従し調理の手ほどきを受けた妻を経て、4人の子らに着実に伝わっている。歴史を紡ぐには微々たる一世帯の“ひと結び”だが、それぞれの家庭が束になれば時代を超越できる大綱となるはず▼そんな郷土料理のつぼん汁を外で頂く際、なぜか味が落ち着かない。それもそのはず、拙家は椎茸の戻し汁に干しエビが不可欠。ここで異論を差し挟むべからず。その理由が、つぼん汁は材料や味付けが家庭次第で微妙に異なるから。実におもしろい▼薬味はもちろん柚子ごしょうだ。

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