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  • 2021/05/15 (土)
  •  外食はもちろん、買い物すら控えるべきか迷うほどの猛威を見せる新型コロナ。飲食店、中でも被災した店舗経営者の苦悩は如何ばかりか。食の価値にも思いが募る▼下戸ながら健啖故、大いに外食したい気持ちを抑制する苦悩は、応援したい知人店舗に足を向けられないつらさと同等。今こそ我慢が必要と理解はしても、そのゴールは近づくどころかかすみ始める始末。このストレスの矛先は一体どこに向かうのか▼そんな意識を逆なでするのが食べ物を扱うバラエティー番組。“コンビニもの”は巣ごもり需要、“大食いもの”に至っては外食の勧めといわんばかり。一方、“食”が希望になればと全国で経済的に困窮する学生を対象の食糧支援が行われている。対照的な取り組みだ▼食絡みでは過日、被災した知人夫妻が「市販弁当ではなく温かい料理こそ大切」と力説、「食事とは単なるエネルギー補給ではなく、生きるための尊厳を得るもの」とも。想像に難い生活を経た先輩の弁に、なぜか頭が垂れた▼食には場を和ませ笑顔を招き、人びとを幸福にする不思議な力があるのだろう。おばちゃん特製の焼きおにぎりが頬張れる日の到来を胸に早期の完全復興を願っている。

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