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  • 2020/10/22 (木)
  •  豪雨災害から3カ月半。熊本県は復旧・復興プラン、人吉市などの被災市村では復興計画に住民の声を反映させるための意見聴取会が始まった▼取材先で被災者や各団体の意見を耳にすると、一日も早い復旧と復興は当然ながら一致。意見が分かれるのが球磨川の治水。蒲島郁夫知事の聴取会初日、郡市の農林水産団体からは、農地をつぶす遊水地は困難として「ダムありきで進めてほしい」とダム治水を求める声が多かった▼一方、昨報にあるように市民団体は「ダムによらない治水」と水害の検証の徹底を訴えているが、今回のダム再燃のきっかけは流域市町村長によるダム建設に関する決議、国と県への要望活動だろう▼住民の生命と財産を守る行政の立場、復興計画策定を急ぐ事情も分かるが、復旧作業に追われる被災者や流域住民の多くは、忘れかけていたダム問題の再浮上に驚きと戸惑いを感じている。是非の判断もできない住民が多い中で拙速感は否めず、人吉球磨の将来に禍根を残しはしないか▼川辺川ダム建設休止につながったのは、12年前の蒲島知事の白紙撤回表明。今回の意見聴取を経てどう決断するのか。その責任はさらに重い。

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