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  • 2019/08/13 (火)
  •  年を経るごとに、先の大戦体験者が減っていく。ことしで、終戦から74年を思えば皆高齢だ▼毎年のことだが、報道にとって8月15日は大切な“話題”の一つ。関係者の高齢化で体験者探しも苦労するがそんな中、人吉市内の読者から手紙が届いた。“ひろば”欄の掲載希望だったが文量の都合上、小欄にて一部を紹介▼時は終戦間近。人吉出身の海軍少将、髙木惣吉に協力し敗戦濃厚な時勢を紙面で伝えた毎日新聞記者、吉岡文六について先覚者の一人と紹介する。「竹槍では間に合はぬ…」の記事発刊で、東条英機内閣を批判した新聞人だ▼故・渋谷敦さんの著作「無冠の帝王―ある新聞人の生涯」、文六をモデルにした井上靖の小説「通夜の客」の引用に推論を加えた投稿内容だ。終戦日を目前に、読者自身も83歳と大戦体験者の一人であればこそ、伝えないわけにはいかなかった▼ろくに“戦後”を知らない世代が退職期を迎え始める。大戦は単なる史実ではない。大勢いるはずの体験者らの声なき声をすくい、真摯に理解に努めて未来へ伝える責任が、今の大人にあると自覚する▼日々、各自不満はあろうがまずは平和こそありがたい。恒久安寧を切願する終戦忌。

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